夢彩人

東京都中野区

嫁菜の花美術館

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Musee Yomenanohana

19936

 

東京の中野区野方(ノガタ)の住宅地にある嫁菜(ヨメナ) の花美術館を紹介します。

JR中央線の中野駅から西武バス野方行きに乗り中野警察前で降ります。そこから東京ガスの横を北に300メ−トル行ったところを左に曲がり標識にしたがって行くと嫁菜の花美術館があります。歩いて10分ほどのところです。

 嫁菜の花美術館は、田中千禾夫(チカオ) ・田中澄江(スミエ) 両劇作家夫妻の長男の田中聖夫(タカオ) 氏と奥さんの三田恭子(ミタ キョウコ) さんが造り上げた美術館で、1988年12月に開館しました。地下1階、地上3階の小さな建物の美術館です。画家である三田恭子さんが白いノ−トに綴った美術館のイメ−ジを聖夫氏の協力を得て現実したものです。その経緯は三田恭子さんの著書「嫁菜の花」に詳しく書かれています。

近所の小さいながらとても繁盛している八百屋さんのおじさんに、「ご商売するうえで、いちばん大切なことってなんですか」と尋ねています。「奥さん、それは心だよ。どんなときだって真心がありゃ、お客さんはきっときてくれるもんだよ」この言葉に勇気付けられたことも書かれています。

嫁菜の花は野の草で、野菊とも呼ばれ、各地のやや湿地に生える多年草です。秋に茎の上部に外周が淡紫色で中央が黄色の花を咲かせます。昔の人は、春の若菜を摘んで嫁菜飯にたいたり、おしたしにしたりしたそうです。俳句では、花の季節ではなく、若菜の季節をとって春の季語になっています。春の日ののどけさや嫁菜飯の香りを連想させてくれます。

この美術館の位置は三田恭子さんのアトリエがあったとこだそうです。三田先生の絵画教室の主婦たちがタイルに描いた野の花が館内の廊下や洗面所に飾られています。絵画教室は、今も開かれています。絵画以外にパッチワ−クや華の教室もあります。

 この美術館の横が千禾夫・澄江夫妻の住まいです。田中澄江さんは野の花をこよなく愛されています。「花に生き花に生かされて」「野の花が好き」「花の百名山」「万葉花こよみ」「花と武蔵野」「花と歴史の山旅」などの花に関する著書や「愛しかた愛されかた」「かしこい女性になりなさい」などの女性のための著書も多く書かれています。これらの本のほとんどに三田恭子さんの花の挿し絵が入れられています。「続 かしこい女性になりなさい」に書かれている恋の特効薬もよく効く薬であると思います。

この嫁菜の花美術館の地鎮祭で田中澄江さんは次のように挨拶しています。

  「この小さな土地に、聖夫夫婦二人が、手に手を取り合って

   美術館を建てようとしています。嫁菜の花のように、名の

   ない館(ヤカタ) であっても永遠に咲き続けるよう、私達老夫

   婦は、陰ながら支えていきたいと思います。」

この美術館には、猫が11匹います。怪我をしていたり、捨てられていた猫を引き取ったりしているうちに増えていったそうです。猫達には、それぞれ名前がついています。それぞれ性格も違うそうですが、私にはよく分かりません。

私がはじめてこの美術館を訪問したのは昨年の6月でした。花の絵を見たいと訪れたのですが、そのときは、着物の展示でした。花の絵をもっと展示してほしいと言った覚えがあります。その後、電話をかけて花の絵を描きたいと絵画教室に通いはじめました。地下1階が入口に成っています。入口の横に喫茶店があります。小さなグラスに氷と冷水が入れられ、小さなレモンが浮かんでいます。喫茶室に流れる音楽の担当は、聖夫氏だそうです。お菓子はすべて手作りです。三田先生の生徒だった人たちがその作者になっています。喫茶室は地下1階ですが、入口の階段から陽が差し込むように設計されています。田中澄江さんの母屋とは地下1階と1階の中間にある入口でつながっています。私は、この入口を利用しています。ドアを開けると釣り下げられているベルのチリンチリンという音がします。そのまま2階に上がって暖炉がある展示室の横の部屋で絵を描きます。絵の具を拭いた紙はその暖炉で燃します。新しい展示を見ることもできます。花の絵の展示が多いですが、雛人形や刺繍などの展示のときもあります。昨年のクリスマスのパ−ティのときに聖夫氏の話をききましたが、やはり作家の息子さんらしく、その話のうまさには関心しました。ときどき絵を描いているところにもこられますが、目が見えにくいなどすこしも感じさせません。

三田恭子さんと田中澄江さんとの出会いは、恭子さんが中学生のときであったそうです。澄江さんが和歌山女子刑務所の所長であった三田さんのお母さんが書かれた「女囚とともに」を映画化するための脚本をかくために三田さんの家を訪問したときです。三田さんのお母さんも澄江さんも敬虔なクリスチャンですので、恭子先生もきっとクリスチャンであると思います。先生の描く花の絵には、その線に強さがありますが、優しさが漂っているからです。先生のデザインした嫁菜の花のブロ−チとネックレスは新聞で紹介されたこともあり、全国から申し込みがあり、飛ぶように売れているそうです。本真珠と水晶の一種であるアイオライトを使用した指輪もデザインしていましたが、今はあまり作っていないようです。でも、わたしは、好きでしたし、先生も気に入っていたようです。

 

(善福寺緑地公園)

JR中野駅の南口から永福町行きのバスが出ています。嫁菜の花美術館からの帰りには、このバスに乗っています。大宮八幡宮前で降りると大宮八幡宮、善通寺川緑地公園に行くことがでいます。近くには、杉並郷土博物館もあります。善通寺川緑地公園は善通寺川沿いに伸びている公園で、物思いに耽りながら歩いていると、ジョギングをしている人たちと出会います。春には、辛夷(コブシ)や桜、ツツジが美しく咲きます。大宮八幡宮も由緒ある大きな神社です。

 

 

所在地:165

    東京都中野区野方1−25−9

Tel:03-3387-7777

 

 

嫁菜の花美術館 公式HP

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