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東京都台東区 |
国立西洋美術館 |
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THE |
1994年7月 |
今回は、日本の誇ることの出来る美術館と博物館を紹介します。それは、上野公園にある国立西洋美術館と東京国立博物館です。国立西洋美術館には、印象派の画家たちの作品が数多く展示されています。中でもモネの睡蓮は、キャンパスの大きさと色彩において、すばらしい作品です。 上野駅は、過って東北新幹線のターミナル駅でありましたが、今は、東京からの途中の駅となってしまいました。でも、上野公園には、美術館等の文化施設が充実しているため、多くの人々が、この公園を訪れます。東京から山手線で4つ目の駅です。 上野駅の公園口の改札口を出て、右側に2分ほど歩くと緑の相談所の西隣に国立西洋美術館が有ります。上野公園の一角に位置し、まわりの木々とのバランスを考慮した2階建ての建物です。バーンズ・コレクションなどの特別展のときには、このまわりを人で囲むことになります。 国立西洋美術館は、松方コレクションを収蔵展示するために1959年(昭和34年)4月に設立され、6月10日から一般に公開されました。本館は、フランスが誇る偉大な建築家ル・コルビジェにより設計されました。 松方コレクションは、当時神戸造船の社長であった松方幸次郎(コウジロウ)が1916年から23年に至る間に私財を投じてパリを中心にヨーロッパ各地で収集した西洋の絵画や彫刻など数千点の美術品と現在東京国立博物館に収蔵されている約八千点の浮世絵版画を意味していました。そして、幸次郎は、これらの作品をもとに東京に共楽美術館と名付けた美術館を建てる計画を持っていたのですが、1927年の金融大恐慌のためその計画も挫折しました。第二次世界大戦中にパリに残されていた四百数十点の作品は、敵国財産としてフランス政府の管理下に置かれ、一旦フランスの国有財産となりましたが、その後の日仏両国政府の折衝の結果、1959年1月フランス政府の好意により、若干の作品を除いて日本政府に無償返還されました。これらの作品が国立西洋美術館でいう松方コレクションです。 開館20周年の1979年には、本館に接続して新館が増設されました。本館には、松方コレクションを中心としたフランス近代美術を展示していますが、新館には、開館後寄贈を受けた20世紀美術のコレクションのほか、購入により集められた、15世紀から19世紀に至る、オールド・マスターの絵画が展示されています。 印象派の代表画家であるクロード・モネの作品は、初期の「並木道(サン=シメオン農場の道)」、「舟遊び」、「ウオーター橋,ロンドン」そして晩年の連作「睡蓮」などの作品を通してモネの生涯をたどることができます。ピエール・オーギュスト・ルノアールの「アルジェリア風のパリの女たち」や「帽子の女」もすばらしいです。 前庭には、オーギュスト・ロダンの「地獄の門」、「考える人」、「カレーの市民」やブルーデルの「弓をひくヘラクレス」等の彫刻がおかれています。本館の19世紀ホールと呼ばれる広間にも多くのロダンの彫刻があります。 現在、前庭の地下に地下3階建ての21世紀美術館を増設中ですので、前庭の彫刻を見ることが出来ません。この建物は、平成9年に完成予定です。工事中のため、展示内容も少ないですが、入館者は結構多いです。 (東京国立博物館) 国立西洋美術館の西側に上野公園の中心にある噴水があります。緑に囲まれた中で青空に向かって白く吹き出す西洋風の噴水は海外の公園を連想させます。この噴水の北側に道路をへだてて東京国立博物館があります。 東京国立博物館は、日本を中心に、広く東洋諸地域にわたる美術および考古遺物等の有形文化財を収集・保管して一般に公開している施設です。敷地は4千坪以上あり、日本最大の博物館です。陳列館は、本館、東洋館、表慶館、法隆寺宝物館の4棟からなっています。来館者には、相当数の外国人がいます。仲間に説明しながら見て回っている外国人を見ると日本人以上に日本の美術品に詳しい感じを受けます。本館は、1938年に開館しており、近代日本洋画の父と称される黒田清輝の作品なども展示されています。 (奏楽堂) 噴水の西側に1890年(明示23年)に創建された日本最古の音楽ホールで国の重要文化財に指定されている奏楽堂があります。奏楽堂は東京芸術大学音楽部の前身である東京音楽学校の施設だったもので、1987年に、横にある音楽学校から現在の位置に移築保存されたものです。2階のホールの舞台は、滝廉太郎がピアノを弾き、山田耕作が歌曲を歌い、三浦環がデビューを飾った由緒ある舞台です。奏楽堂の前には滝廉太郎の銅像があります。 滝廉太郎物語「わが愛の譜(ウタ)」の中にも出てきます。廉太郎は、島崎藤村とは、幸田幸の家で一緒に百人一首をしたこともある間柄であり藤村の「若菜集」を愛読していました。たまたま奏楽堂で催し物があって練習室が使えないようなときには、上野の森を散策しながら、この詩集を読んだとあります。 まだあけ初(ソ) めし前髪の 林檎(リンゴ)のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛(ハナグシ) の 花ある君と思いけり やさしく白き手をのべて 林檎をわれにあたえしは 薄紅(ウスクレナイ)の秋の実に 人こい初(ソ) めしはじめなり (上野公園) 上野公園(上野恩賜公園)はサクラの名所でもあります。動物園、上野東照宮、不忍池(シノバズノイケ)
などを含め公園全体には、1300本ほどのサクラの木があります。また、上野東照宮には、参道左手の境内にボタンの庭園が開設されています。五重の塔を背景に新春を飾る冬ボタンの光景はすばらしいものです。 (横山大観記念館) そして、ボタン園の西側に不忍池があります。その西岸を南北に不忍通りが走っています。この通りの西側に横山大観記念館があります。近代日本画壇の巨匠横山大観が1909年41才から亡くなった1958年90才まで制作活動を行なった家を記念館としたものです。 上野の森は文化の薫りの高ところです。 |
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所在地:〒110 東京都台東区上野公園7−7 Tel:03-3828-5131 |
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国立西洋美術館 公式HP |
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