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東京都中央区 |
石橋財団ブリヂストン美術館 |
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BRIDGESTONE |
1993年7月 |
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今回は、東京駅から歩いて行けるブリヂストン美術館を紹介します。印象派を中心とするヨーロッパ近代美術と明治以降のわが国の近代洋画を収集・展示する美術館です。 JR東京駅は皇居側にある丸ノ内中央口とその反対側の八重州中央口があります。ところで北口、南口は丸ノ内側と八重州側の両方にそれぞれあるので注意が必要です。ブリヂストン美術館は八重州中央口を出て目の前の八重州通りを東に300mほど行くと、中央通りとの交差点にでます。この交差点を渡るとすぐ右側にブリヂストン本社ビルがあります。赤いポールと白い卵の形をした田中信太郎の作品「ブランクーシ・ラプソディー」がビルの角にあります。上を見上げるとブリヂストン美術館と住友銀行の看板が目につきます。住友銀行の横に美術館の入口があります。美術館の受付けは階段を上がった2階にあります。 ブリヂストン美術館は、1952年(昭和27年)に株式会社ブリヂストンの創業者である石橋正二郎により創設されました。当時の高さ制限いっぱいにつくった9階建てのブリヂストンビルが竣工したとき、自らのコレクションを公開するための美術館をこのビルの2階に開設しました。 石原正二郎は福岡県久留米市に生まれています。彼が近代美術の収集に手をそめたのは、郷土の生んだ二人の画家、青木繁と坂本繁次郎に目をむけたことから始まったとのことです。 坂本繁次郎が母校久留米高等小学校の図画担当の教員であったとき、石橋正二郎は彼の教え子であったとのことです。明治の天才画家青木繁と坂本繁次郎は、同じ久留米市出身で無二の親友であり、またライバルでもありました。でも青木繁は28才という若さで不遇のうちに世を去りました。坂本繁次郎は、青木繁の作品が、時とともに分散することを惜しんで、その作品の収集について石橋正二郎に話したのがきっかけになり、石原正二郎は青木繁の絵を買い集めました。これが石橋コレクションの第一歩であったとのことです。 石原正二郎は戦後の混乱期に美術品収集に情熱を傾け、印象派を中心とするフランス19世紀絵画と、放浪の生活の中で抒情性の強い作品を生み出して行った、戦前のエコール・ド・パリの画家たちの絵画と黒田清輝以降、昭和前期に至る日本の洋画、古代ヨーロッパの彫刻、工芸品そして近代フランスの彫刻を収集しました。 その後、1956年には、文化・教育事業を目的とした財団法人・石橋財団が設立され、美術館の運営を継承しました。さらに1961年には、石橋正二郎所蔵の美術品のほとんどがこの財団に寄贈され、現在の常設展示の核をなしています。特別展も開かれてはいますが、「美術館は、本来常設であるべきである」との考えを運営の基本として、今日まで所蔵品の充実を図っているとのことです。 石原財団ブリヂストン美術館の展示室は第1室から第5室とロビーに分けられています。 第2展示室には、コローの「ヴィル・ダヴレー」、マネの「メリー・ローラン」、ドガの「浴後」、シスレーの「森へ行く女たち」、モネの「睡蓮」、セザンヌの「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」、ルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」等のフランス印象派とその周辺の絵画が展示されています。 第3・4展示室には、シニャックの「コンカルノー港」、ゴーギャンの「馬の頭部のある静物」、ゴッホの「モンマルトルの風車」、ルオーの「郊外のキリスト」、マティスの「画質の裸婦」、デュフィの「オーケストラ」、ピカソの「腕を組んですわるサルタンバンク」、ユトリロの「サン=ドニ運河」、ローランサンの「二人の少女」、モディリアーニの「若い農夫」等、ポスト印象派からエコール・ド・パリへと続く今世紀前半のヨーロッパ絵画が展示されています。 第5展示室には、浅井忠、黒田清輝、藤島武二、青木繁、藤田嗣治、岸田劉生、佐伯祐三等、明治以降のわが国の代表的洋画家の作品が展されています。今回は、ここで坂本繁次郎の「放牧三馬(ホウボクサンバ)」や「帽子を持てる女」など30点近い作品が特別展示されていました。 石橋正二郎は、青木繁や坂本繁次郎に加え、同郷出身で昭和初期の異色の画家古賀春江(コガハルエ)の作品をも収集し、これらの3人の作品は、この美術館の姉妹館である久留米市の石橋美術館に所蔵されているそうです。 美術講演会「土曜講座」も美術館開設当時から開かれており、好評であるとのことです。1階の講堂で開かれています。2時までに行けば聴講できます。 東京の一等地のオフィス街に、気軽に訪れることのできるこのような美術館があるのは、東京はすばらしいところであると思います。 (皇居東御苑) この美術館から中央通りを北に400mほど行くと地下鉄営団東西線の日本橋駅があります。ここから営団東西線に乗って、竹橋駅まで行くと皇居東御苑(コウキョヒガシギョエン) に行くことができます。時間があれば、ブリヂストン美術館から直接東京駅に戻るのではなく、皇居周辺の花めぐりをされるのをお薦めします。 皇居は、皇居外苑、皇居東御苑、北の丸公園、千鳥ヶ淵公園の4つの公園に囲まれています。さらに国会前庭と日比谷公園が加わり壮大で優美な地域を形成しています。この中で、皇居東御苑は、回遊式日本庭園になっている花の美しい二の丸庭園と壮大な芝生とツゲの刈りこみを主体とした西洋庭園からなっています。和洋両方の雰囲気を味わうことができます。 6月中旬は、二の丸庭園のハナショウブが満開です。サツキの花も残っており、これらの花を撮るカメラマン達で賑わっています。今日のNHKのテレビでハナショウブの花言葉は「優雅」であると言っていましたが、まさにこのハナショウブは高貴な気品をたたえています。 皇居東御苑は、3箇所から出入りすることができます。大手門(オオテモン ) と平川門(ヒラカワモン)、そして北桔橋門(キタハネバシモン) です。竹橋駅からであれば、北桔橋門から入るのがよいでしょう。朝の9時から入れます。午後3時以降は、入場することができません。入るときに入場札をくれます。出るときに返します。4時に門が閉まります。 大手門の近くに三の丸尚蔵館があります。宮内庁所蔵の作品が展示されています。今回は「花鳥の美」伊藤若沖(ジャクチュウ) から近代までの作品が展示されていました。 大手門を出て右に曲がり桔梗濠添いの内堀通りを行幸通りまで行き東を見ると赤レンガの東京駅丸ノ内口の正面を見ることができます。15分位で歩くことができます。 (東京ステーションギャラリー) この皇居から見ることが出来る東京駅の中央部は、皇室用玄関であるそうです。この玄関の右(南側)にステーションホテルの入口があります。左(北側)に東京ステーションギャラリーの入口があります。 1914年(大正3年)に建築された東京駅赤レンガ駅舎の2階にある東京ステーションギャラリーは、JR東日本発足1周年を記念して、1988年4月1日に開館しています。東京ステ−ションギャラリーは東京駅から一番近い美術館です。特に所蔵品などは、ないと思われますが、展示室の雰囲気は最も好きな美術館の一つです。木の床も落ち着きます。壁が赤レンガのままの展示室もあります。 今、「印象派とフランス近代絵画の系譜」の展示を行なっています。8月には大阪駅の大丸ミュージアム・大阪でも開催されます。なかなか素晴らしい企画です。 この美術館のなかには、喫茶室「THE BRICK]があります。展示室のなかちもゆっくりと休憩する椅子はありますが、ここで味わうコーヒーは一味違った魅力があります。 入館は夜7時30分までですが、8時まで開かれています。ここから5分もあれば新幹線に乗ることもできます。 東京駅には、もう一つの美術館があります。八重州口にある大丸の12階にある大丸ミュージアム・東京です。時間があれば、展示内容を確認して行かれるのがよいでしょう。 東京は、やはり皇居を中心につくられた町であることがわかります。ここは世界に誇れる場所であると思います。 |
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所在地:〒104-0031 東京都中央区京橋1丁目10番1号 Tel:03-3563-0241 |
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ブリヂストン美術館 公式HP |
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