夢彩人

神奈川県横浜市

横浜美術館

☆☆☆☆

 

YOKOHAMA MUSEU OF ART

19947

 

今回は、私が訪問したとき雨であった横浜美術館を紹介します。

桜木町駅から動く歩道に乗ってランドマ−クタワ−に向って行くと、右手に帆船日本丸や横浜博覧会のときに人気を博した大観覧車が見えます。動く歩道を降りてランドマークタワーのショッピングプラザの中を通り標識に従って行くと横浜美術館に出ます。

横浜美術館は1989年(平成元年)に市政100周年、開港130年を記念して開催された横浜博覧会の開幕と同時にオープンしました。古代エジプトの神殿を思わせる丹下健三研究所により設計された建物です。2階が正面玄関で、3階まで吹き抜けのグランドギャラリーになっています。天井はガラス張りで、自然の光が降り注ぐようになっています。晴れた日には、花崗岩と大理石で囲まれた大空間が輝くことでしょう。このグランドギャラリーでは、ピヤノや歌曲などの各種・コンサートが開かれています。3階の展示室には左右のエスカレ−タで行くことができます。8階の展望フロア−には、入口正面左側のエレベータを利用します。このフロア−からは、みなとみらい21地区の建物やベイブリッジ、横浜港を見渡すことができます。

この美術館の収蔵品は、洋画、日本画、写真、彫刻、ガラスなどの工芸と幅広く集められていますが、5千点を越える収蔵品のうち1千3百点が寄贈による作品です。ダリ、ミロ、エルンスト、マグリッドなどのシュールリアリズムを中心とした作品を収集、日本の油彩画では、横浜にゆかりのある作家を中心に集められています。日本画では、横浜に生まれた岡倉天心と、その創設になる日本美術院、それに三溪園 (サンケイエン)で知られる原三溪にゆかりのある人たちの作品の収集が中心となっています。菱田春草、前田青邨、下村観山、横山大観、今村紫紅、安田靫彦などです。

常設展は年4回展示替えされます。企画展は年間5、6回開催され、ユニークな内容の企画が多いです。

美術館の前には「美術館の広場」と名付けられた前庭が広がっています。企画展のときは、この前庭に人が何列にも並びます。ル−ブル美術館200年展のときは、1時間以上も雨の中、この前庭で並ばなければなりませんでした。

 

(横浜人形の家)

桜木町駅前のバスタ−ミナルに出て、そこから本牧(ホンモク)行きのバスに10分余り乗り、「山下ふ頭入口」で降りて階段を上がると横浜人形の家があります。山下公園の横にある三角屋根と桜色の外壁の建物です。「赤い目の人形」や「赤い靴」に歌われている港ヨコハマの新しいシンボルとなっています。

横浜人形の家は、1978年横浜市に寄贈された人形を産業貿易センタ−に展示していましたが、その後各方面からの相次ぐ寄贈により数が増えたため、横浜市政百年記念事業の一つとして、国際親善の願いを込めて、現在の建物が建てられました。

2階の世界の人形展示室には、世界約130ケ国の民族色豊かな850体ほどの人形が展示されています。3階は日本の人形展示室で850体ほどの郷土人形、古典人形、ひな人形などの展示です。4階は、あかいくつ人形劇場です。座席数は147ですが、前方の席は、ひじ掛を上げて大勢の子供たちが座れるように工夫されています。

2階の入口の上には、大きな靴と靴屋のお爺さんの人形があり、これがからくり人形で午前10時から午後5時まで1時間毎に7人の小人が音楽に合わせて靴作りの手伝いや靴磨きを始めます。5分ほどの楽しいショ−です。もちろん休館日はこの人形たちも休みます。

世界各国の人形が展示されていますが、やはりフランス人形が私は好きです。イタリアの人形も気に入ったのがあります。外国からのお客さんに横浜市が送るという日本の人形も可愛らしくて、素晴らしいです。この人形の絵はがきがほしかったのですが、手に入れることができませんでした。

 

(山下公園と港の見える丘公園)

人形の家の2階の出口から花壇のある方に歩いて行くと山下公園に出ることができます。港内一周の館光船や横浜駅方面への定期船の発着場が見えます。山下公園とは反対側に出て、頭上の首都高速を横切ってフランス橋を渡ると、かってフランス領事館のあった公園に出ます。この公園の木立のなかにある急勾配の坂道を上がったところが「港の見える丘公園」です。この丘から見える港のイメ−ジは、私が小さいときに抱いていたものと少し違います。小さいときに買ってもらった船の本に横浜港がでており、神戸を知るまでは、横浜港は、大きな汽船の行き交う日本一の港であると思っていました。でも、ここから見える港は高速道路が走り、建物が密集し、狭苦しい気がします。神戸のイメ−ジが強くなったためかもしれません。

港の見える丘公園自体は落ち着いた美しい公園です。公園の中の花壇の先に赤レンガを基調とした大佛(オサラギ) 次郎記念館、その裏手に県立神奈川近代文学館、右手にイギリス館があります。イギリス館の前には美しいバラ園が広がっています。港の見える丘公園の西側は少し離れて外国人墓地がありますが、その途中左側にレンガ造りの建物の岩崎ミュ−ジアムがあります。

 

(大佛次郎記念館)

大佛次郎記念館は、1978年5月1日に開館しました。大佛次郎は1847年(明治30年)横浜に生まれました。東京大学を卒業後、外務省等に勤務しましたが、1924年「鞍馬天狗」で一躍その名を高め文筆活動に専念することになりました。作品分野は小説、史伝、戯曲、随筆など多岐にわたります。1964年には文化勲章を受賞しました。遺族から資料の寄贈を受けた横浜市がこの記念館をつくりました。次郎の作品「パリ燃ゆ」の最初がサン・ドニ美術館で「サン・ドニの小さな町はパリの都心から北、十キロと離れない郊外にある。ここの美術館にパリ・コミュヌ関係の画があるので見たいと思った」ではじまります。

 

(県立神奈川近代文学館)

大佛次郎をはじめ吉川英治、獅子文六など横浜出身の作家や横浜にゆかりのある作家たちが数多くいます。そして、横浜をはじめとする神奈川は様々な文学の舞台となっています。

岡本かの子の自伝的作品「生々流転」、人妻波多野秋子と軽井沢で心中した有島武郎の「或る女」、異人屋敷の使用人とラシャメン(洋妾)の涙の恋物語を描いた異国情緒漂う大佛次郎の作品「霧笛」、横浜を舞台に自らの体験を基にして船のサビを落とす人夫「かんかん虫」として働く少年トム公を主人公とした吉川英治の「かんかん虫は唄う」、鎌倉材木座の海を舞台とした武者小路実篤の「友情」などです。県立神奈川近代文学館はこうした文学士たちの創作や生活の様子を伝える興味深い資料をテ−マに沿って展示、公開しています。

 

(岩崎ミュ−ジアム)

岩崎ミュ−ジアムは、岩崎学園横浜洋裁学院の創立50周年記念事業の一環として1980年に建設されました。服飾関係をはじめ、生活に密着した工芸・美術品なども併せて展示されています。ア−ルヌ−ヴォ−の寵児アルフォンス・ミュシャやルイ・イカ−ルの作品もあります。 このミュ−ジアムは、ゲ−テ座記念岩崎博物館とも呼ばれています。このミュ−ジアムが1885年に建てられた西洋式劇場ゲ−テ座(Gaiety: 陽気な に由来)の跡地の一部に建設されたためです。いまでもこのミュ−ジアムの中にホ−ル山手ゲ−テ座をもっており、洒落た音楽会や講演会などが開かれています。素敵なドレスを着て記念写真を写すこともできます。

外国人墓地を抜けると石川町駅に通じる元町商店街に出ます。この元町商店街は、横浜を感じさせる通りです。カップルの多い通りです。石川町駅に通じるこの通りの右側に中華街があります。中国の人たちは、世界大都市に中華街を造りあげていますが、横浜の中華街は世界でも大きい方だと思います。横浜はやはり魅力のある町です。

 

 

所在地:220

   神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目4番1号

Tel:045-221-0300

 

 

横浜美術館 公式HP

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