|
|
|
東京都港区 |
草月美術館 |
☆☆☆ |
|
the sogetsu
art museum |
1994年2月 |
今回は草月美術館を始めとする、私にとって最も身近な赤坂見附周辺の美術館を案内します。 地下鉄銀座線または半蔵門線の青山一丁目駅から青山通りを赤坂見附の方向に5分ほど歩いて行くとカナダ大使館と高橋是清翁記念公園の隣に草月会館があります。 草月会館は、前衛的な生け花で知られている草月流の本拠地であり、1977年12月完成しました。全面アルミカーテン・ウォール・ハーフミラーガラスの丹下健三設計による、地下4階、地上11階の建物です。草月美術館は、草月流創始者である勅使河原蒼風(テシガワラソウフウ)の構想で、この草月会館の6階に1981年4月開設されました。しかし、蒼風は、この美術館の開館を待たずに1979年に亡くなりました。そのため、第1回オープン記念展は「勅使河原蒼風遺作展」となっています。その後、蒼風と蒼風の長女で若くして亡くなった2代目家元の霞(カスミ)
の遺作展が開かれています。 所蔵品は、勅使河原蒼風と霞、そして現家元の宏の3代にわたって収集、制作されたコレクションであり、国内外、時代、ジャンルを問わず多岐に広がっています。20世紀美術を代表する作家たちの重要な作品を中心に、実に大胆かつ奔放に集められています。フェルナン・レジェ、アンリ・マチス、パブロ・ピカソ、マルセル・デュシャン、ジョルジュ・ブラック、サルバドール・ダリ、イブ・タンギーらの作品が集められています。また、戦後アメリカ美術の新しい方向をみせたジャスパー・ジョーンズやロバート・ラウシェンバーク、サム・フランシスらの大作も集めています。さらに、アンフォルメル(表現主義的抽象絵画)、空間派のジョルジュ・マチュー、アントニ・タピエス、ルーチョ・フォンタナらの秀作、キネティック・アートのジャン・ティンゲリーやポップ・アートのアンディ・ウォーホルの蒼風と霞の肖像連作などが集められています。日本勢では今井俊満、荒川修作、猪熊弦一郎、工藤哲巳をはじめとする作品があります。 来日したジョルジュ・マチュウやサム・フランシスに草月会館の壁画を飾る作品を依頼するなど、アーティストとコレクターの関係にとどまらず、芸術運動を共に担うアーティスト同志の共感から創りだされた作品もあります。 勅使河原蒼風は、伝統的ないけばな流派の家に生まれながら27才の時に新しく草月流を創始しています。オブジェ作品による革新的いけばなにより、国際的にもてはやされてきました。でも、花の美しさは、このような形でなくても表現できるのではないかと私は思っています。 (カナダ大使館ギャラリー) 草月会館の西側にカナダ大使館があります。昔は隣の高橋是清翁記念公園のように木々に囲まれたゆとりのある佇まいでしたが、今は、前庭はなくなり、道路に面して立派なビルがそびえています。でも、ギャラリーのある奥の入口まではいると昔の面影があります。山梔子(クチナシ)の白い花が咲き、ほのかな匂いがただよっていました。ギャラリーは地下2階にあります。カナダのサスカチュワン州生まれの写真家コートニー・ミルンの写真展「聖なる大地」をしていました。落ち着いたギャラリーですので、昼休みなどに訪れてもよいと思います。土曜、日曜日はお休みです。 (サントリー美術館) 青山通りを赤坂見附に歩いて行くと赤阪見附の交差点に出ます。左に曲がって青山通りを渡ると東京サントリービルがあります。このビルの11階にサントリー美術館があります。「私たちの祖先が生んだすぐれた伝統美術をもっと身近に鑑賞し、親しめる場所を提供したい」という当時サントリ−の社長であった佐伯敬三の発意により1961年11月にサントリー美術館が東京・丸の内のパレスビル内に創設されました。そして、1975年5月に現在の位置に移転しました。 サントリー美術館は、「生活の中の美」をテーマとして、日本古来の美術・工芸品の収集と展覧に力を注いでいます。絵画、陶磁器、漆工、染織、ガラスなど、日本人の生活に密着した作品を主体とした2700点が収蔵されています。館内に茶室「玄鳥庵」があり、抹茶を飲むことができます。この美術館からみた首都高速4号線やホテルニューオータニそして新宿方面の眺望は素晴らしいものです。 (ニューオータニ美術館) 外堀の弁慶堀にかかる弁慶橋を渡ると右側に赤阪プリンスホテル、左側にホテルニューオータニがあります。ニューオータニは3つのビルからなっています。手前からガーデンコート、タワー、そしてザ・メインであり、これらの建物は6階のロビー階と呼ばれるフロアーでつながっています。ニューオータニ美術館はガーデンコートのこのロビー階にあります。美しい日本庭園が一望できるガーデンラウンジもタワーのロビー階にあります。 ニューオータニ美術館は1991年2月8日に多機能空間の文化的機能を充実させる施設として開設しました。この美術館には、ホテル所蔵の近代・現代絵画に加え、ホテルニューオータニ創設者大谷米太郎の収集による近代日本絵画および大谷米一館長が系統的に集めた近代フランス絵画も保管され、展示されています。 (外堀公園と聖イグナチオ教会) ホテルニューオータニのメイン玄関から四谷周辺には、外堀の土手が続いています。弁慶濠から飯田橋まで伸びるこの土手には、松や桜が植えられ、春の夜など、花見の客でぎっしりと埋まります。濠を渡る風が気持ちよい季節には、木陰のベンチで昼寝をしている人もいます。四谷辺りでは濠は埋められ上智大学の運動場になっています。外観はバッキンガム宮殿、内部はベルサイユ宮殿を手本にしたという迎賓館を手前に見ることができます。その遠く向こうに都庁などの超高層ビルの姿も見えます。上智大学の運動場を左手にみながら土手の上をのんびりと歩いて行くと、右手に上智大学の建物と聖イグナチオ教会を見ることができます。このホテルニューオータニから四谷までの5、6百メートル続くソメイヨシノの木の下側には、レンギョウが植えられ、レンギョウの黄色と桜の淡いピンクとの対照は、みごとな景観をなしています。そしてその中に聖イグナチオ教会の四角い屋根の上の十字架が青空の中に美しくそして静かに立っています。 四谷駅から見るイグナチオ教会の景色もすばらしいです。四谷の駅から毎朝この光景を見ながら通っています。聖イグナチオ教会の前には、聖書の中の言葉がかかれています。一ヵ月ごとに内容がかわりますが、毎朝見ていると心が豊かになるような気持ちになります。 愛は
あなたの心が ねたまず 愛で満ちているなら 高ぶらず いつでも 誇らない 何か人に すべてをこらえ
与えるものがある すべてを信じ すべてを望み耐え忍ぶ |
||
|
所在地:〒107 東京都港区赤坂7−2−21草月会館 6階 Tel:03-3408-1126 |
|
|
草月美術館 公式HP |
62 |
|
|